2018年5月3日木曜日

違和感、なんだこれは?

既成観念ではなく、自分の心が感じたものを信じよう。
そう改めて思った今回のバングラの農村での調査。

今回、バングラでの聞き取り調査は、ひさびさのフィールドでとても楽しかった。でも、正直、かなり怒りを覚えたのも事実。

別に、自分自身や、自分の仲間がイヤな目にあった訳ではない。インタビューをして感じた彼らの置かれている状況に腹が立った。

バングラは、マイクロファイナスが有名。ここでのマイクロファイナスは、貧しくて誰もお金を貸してくれる人がいなかった状況で、連帯責任や回収の仕組みをつくって、貧しい人でも融資を受けられるようにした画期的な仕組みだと言われている。実際に有名なグラミン銀行の創始者のユヌスさんはノーベル平和賞ももらってたりする。

でも、ほんとにそんなに諸手をあげて賞賛するような仕組みなのか?年利20〜30%で連帯責任を課して融資を回収する仕組みなんて、日本でいったらちょっと前に問題になったサラ金のような高利貸しと変わらなくない?

5年くらい前に、ナイジェリアで金融調査をした時も、マクロファイナスを何箇所か訪問して聞き取りをしたけど、インタビューに応じてくれたマイクロファイナスのおっちゃんは、まさにごりごりの貸金業!というような印象だった。

今回は、マイクロファイナスへのインタビューではなく、実際にお金を借りている農村の住民へのインタビュー。

マイクロファイナンスの高利を正当化する一つの理由は、誰もお金を貸してくれない貧困層でも、マイクロファイナスからお金を借りてビジネスをすることで、貧困からの脱却を手助けできる、という考え方がある。

で、実際に聞いてみた。

わき「マイクロファイナスからの融資は、何に使ってるの?」

ほとんどの人の回答は「生活費に使っている」というもの。

わき「なんで生活費が必要なの?」

回答者「いや、だって雨季になったら村で仕事がなくなるから、生活費がなくなるんだよね。で、借金して乾季になったら働いて返すんだ。」

わき「なんで貯金しないの?」

回答者「いや、生活が苦しくて貯金なんてする余裕ないよ。」

これっておかしくない?

確かに彼らは貧しい。実際に今回訪問した村は、バングラデシュの中でも貧しいと言われるエリアを選んでいるので。

でも、貯金する余裕はないけど、年利20%とかの融資を月収の3〜4ヶ月分を前借りして、金利と元本の返済を数ヶ月の融資期間で完了しているんだよね?

お金が全く回っていない訳ではない。

この回答を聞いた時に自分が感じたのは、”搾取の構造”

インタビューをしている貧しい人たちが、高利の借金を必要とする環境を作り上げることで、マイクロファイナンス自身が存続する仕組みを作っているんじゃないか、と。

もちろん、インタビューに協力してくれた人たちはそんなことは感じていないのかもしれない。むしろ、マイクロファイナスがあって助かっていると思っているかもしれない。

でも、この仕組みは健全ではないと感じる。

目指すべきは借金なんてしなくてもよい状況、特に毎年やってくる雨季に備える手段、をつくらなければいけないと思う。

雨季になったら仕事がなくなることはわかっているなら、その時に備えて貯金できるようにサポートするべきだ。そうすれば、借金の金利を払うんじゃなくて、額は少ないかもしれないけど預金の利息だってもらえるし。

それに、そもそも借り手が事業に投資しているとしても、自分が年利20〜30%の融資を受けてバングラでビジネスをしたとして、借金を返した上で儲けをだすようなことってできるだろうか?それも元手なんて何千万とか何億円なんて単位じゃなくて、せいぜい5万円の元手で。無理でしょw

なので、もともとマイクロファイナスにはあまり好意的でなかったけど、今回の調査で訪れた村のようなマイクロファイナスに代わる仕組みを作りたい!と思った。

もちろん、貧しい人が本当に生活に困った時にお金を借りることができる、というセーフティネットとしてのマイクロファイナスの役割は必要だと思う。

でも、常にセーフティネットに依存する仕組みになってしまっては、人の努力するという可能性まで閉ざしてしまう。

そう、よく言われる援助があることで、援助を受けることを当然のことと思ってしまっている開発途上国の発展が阻害されている、という考えにも近いものを感じる。

自分も援助が全部いらないなんて思わない。災害や紛争で緊急に誰かが支援しなければいけない状況だってあるし、そういった場合には援助をすべきだと思う。でも、援助があることで、人をダメにしてしまっては、なんのための援助なのかとも思う。

今回の調査はそんなことを改めて感じたし、現状を変えなければ!と、闘志が湧いてきた調査だった。

そんな感じ。

ではでは、またね。