2017年3月18日土曜日

戦争学と平和学


平和学をやってきた自分の感覚として、
戦争学と平和学は、なんとなく相性が悪い(笑)

でも、たまに戦争学の視点からの本を読んだりもする。そして、戦争学の視点からはこうなんだなーとか思ったり。

今度、戦争学と平和学について、紹介させてもらう機会をもらったので、改めて戦争学と平和学ってどう違うんだろ?と。

下の2つは、戦争学と平和学の大学院の紹介文の一文。



... explores the phenomenon of war and conflict, along with its causes, conduct and consequences, from historical, political, philosophical, military and sociological viewpoints.

... is a field of social science focused on the multilevel study of violence and conflict in a complex and increasingly inter-dependent world.

最初の説明が、King's CollegeのWar Studiesの大学院の紹介文で、
2個目の説明が、自分もいたBradford UniversityのPeace Studiesの大学院の紹介文。

ちょっとニュアンスは違うけど、紛争をテーマに様々な視点から研究する、って結構似たことを言っている。

ざっくりと考えれば、戦争と平和が交互に訪れる(戦争の終わりに平和がきて、平和の終わりに戦争がくる)、もしくは共存している、とも言えるので、表裏一体というか、研究のテーマは近いところにあるとは思うけど。

戦争学は、戦争そのものがテーマなのだから、よりpractical(実践的)なのか?
平和学は、平和という理想を追求するのだから、よりidealistic(理念的)なのか?

そういった側面もあるかもしれないけど、戦争学のテーマにも理想とする形があるわけでそれを目指している人はいるはずだし、平和学もそのアプローチを実際の現場でやっている人もいる。

でも、一つ、自分が感じる違いがある。誰のために存在しているのか?という視点。

戦争学は、戦争遂行の当事者となる、国家や政府といった組織のために存在していると思う。

平和学は、もちろん平和をめざす国家や政府のためにも存在するし、(機能しているかは別にして)国連とか国家以外の枠組みのためにも存在していると思う。さらに、こういった大きな単位のためだけにあるのではなくて、この世界で生きている一人一人のためにも存在しているのだと思う。

戦争学の視点の研究も興味深いし、参考になることもあるけど、
自分は平和学の価値観の方が心惹かれる。

この世界を平和にするには、どうしたらよいか?ということを、別に政府や国連といった大きな組織だけではなくて、一人一人の自分たちの行動として実践していくんだ、と。

そして、その気持ちは、今の自分の仕事にもつながっている、というか
自分は子供の頃に思った世界が平和になるような仕事がしたいってのと
同じ思いにひっぱられて、今もそれに向かって進んでいるんだよね。

まだまだやりたいことはたくさん。
ぐりぐりと進んでいくんだ!

ではでは、またね。

2017年3月12日日曜日

極限点

限界なんてあるなんて思いたくない一方で、今の自分たちの限界点のイメージも必要だと思う。

そう、あくまで ”今の”自分たちの極限点。

今の自分たちの力の源は、日本のベンチャーや中小企業のサービス・製品・商品。

日本の企業の特性にあったビジネスモデルを考えることが必要なんだと思う。

たまに考えるざっくりとした人口動態。過去20年の日本の人口動態。少子高齢化。労働力となる人口が減っている社会。

そして国内の経済活動という面では、長期停滞、とすっごくネガティブなイメージ。ドルベースでは、為替レートの影響で円高の年だったりすると急にGDPが増えたりしてるけど、ざっくりとみれば、ほぼ横ばい。

新興国や周りの経済が成長していることを考えると、やっぱ停滞だよなーとも思うけど、「労働力が減っていて、それに伴って消費する力も減っている」ってところを踏まえると、その中で同じレベルの経済規模を維持している、と考えれば、少しポジティブになれる気もする。

日本の(労働人口に近い)15才〜64才の人口は、1995年頃にピークの8,700万人が、2015年に7,700万人に減少。2050年には5,500万人と、減り幅はやや小さくなるものの今後も減り続けるらしい。

労働人口が減りつつも、同じ市場規模を維持している、というのは、日本の企業にとってとってもポジティブな側面でもあると思う。同時期にデフレで悩まされた経済という印象もあるから、一概には言えないけど、ほっとけば縮小してしまうマーケットの中で、質の高いサービス・製品・商品を、高い価格で販売する、といったモデルには活路があるのでは、と思う。

そして、少子高齢化が進んでいるのは日本だけじゃなくて、最近言われている中国や、さらに東南アジアのタイやベトナムでも日本がここ20年で経験した少子高齢化と労働力の減少が始まる。

15才〜64才の人口が占める割合でみれば、
・タイでは、2014年頃から
・ベトナムでは、2015年頃から
すでに労働人口の減少が始まっているらしい。

15才〜64才の人口でみても
・タイでは、1990年の3,700万人から増えた人口も、2016年頃の4,900万人がピークで、2030年には4,500万人。
・ベトナムでも、1990年の3,800万人から2020年頃までに一気に6,700万人まで増えるけど、その後はゆるやかにピークを迎える2035年でも約7,000万人。

ASEANの中でも、経済成長の余地が大きいとも思えるカンボジアやミャンマーの人口動態は?同じ年齢レンジで:
・カンボジアは、1990年の500万人が、2020年に1,100万人とほぼ倍に。労働人口のピークを迎える2045年頃に1,500万人。
・ミャンマーは、1990年の2,400万人が、2020年に3,900万人とざっくり1.6倍に。参照できる世銀の情報の2050年まで増え続けるけど、その人口は4,300万人と総数はあまり増えない。

似たようなマーケットとして、ラテンアメリカ。
・ブラジルは、1990年の9,100万人から、2020年に1億5,100万人。労働人口のピークは、2035年頃に、1億5,600万人。
・メキシコは、1990年の4,900万人から、2020年に9,000万人。労働人口のピークは、2045年頃に、1億500万人。

こういった新興国の市場では、過去20年間の人口増加による経済成長は続かないと思う。国内消費だけじゃなくて、輸出もあるから、その部分はこのブログでは抜け落ちているけど。とはいえ、国内市場は、経済成長の程度の差はあるだろうけど、作れば売れるというモデルから、日本が経験したデフレのような世界の中で、質の高い単価の高いサービス・製品・商品へのニーズも高まるはず、という予感もする。

こうやってみると、日本のベンチャーや中小企業が、輸出のための生産地ではなくて、現地の国内市場を狙う進出先としては、人口動態とともに経済成長のトレンドが変わり始めている地域に可能性があるのかな、と最近思う。

これが正しい見方なのかは、何十年かしてわかるのかな(笑)

それ以外のマーケットへの可能性は、長くなってしまったので、また次回。

ではでは。